世界にひとつしかない神の住む森、熊野

和歌山県、奈良県、三重県にまたがる地域は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。古代にこの地にあった「熊野国」とほぼ一致するエリアであり、古事記によれば神武天皇が大熊に会ったことが地名の起源です。

山と川、海と湖の大自然

ほぼ全域が「熊野三千六百峰」と呼ばれる山のなかにあります。台高山脈、熊野山地、大塔山脈、峯山脈などの山々と、赤羽川、船津川、銚子川、尾呂志川、熊野川、北山川、那智川、大田川、古座川、周参見川、日置川、富田川、会津川、芳養川の14の川があります。
さらに、熊野灘、錦湾、江ノ浦、桂城湾、引本湾、白石湖、尾鷲湾、賀田湾、新鹿湾、熊野浦、那智湾、森浦湾、太地湾、玉ノ浦、浪の浦、紀州灘、枯木灘、山湾、瀬戸湾、田辺湾の海や湖と面しています。

雨の多い地域

熊野は日本有数の多雨地帯。屋久島と同様、年平均の降雨量は4000ミリを超えます。太平洋側から吹く海風が紀伊山地にあたって雲を生じさせ、雨になります。雨の多い地域だけに水もきれいです。滝も美しく、飛瀧神社のご身体となっている那智滝は、高さ133mの美しい滝です。

世界的で唯一の霊場・修験・巡礼の一体化した聖地

熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3つの神社を総称して熊野三山といいます。日本古来の山岳信仰と仏教などが結びついた修験道の神社であり、ここへ通ずる参詣道が「熊野古道」です。熊野古道は5本あり、全てを歩けば数百kmになります。道が世界遺産に含まれるケースは極めてまれです。
熊野の地は、困難や試練をともなう山地ルートの巡礼路。こうした道の文化は中国の道教などの影響を受けています。霊水・霊泉や温泉に不老長寿や病気治癒などの薬効があると伝承され、熊野の霊的な力をますます増大させることになりました。このような、山地霊場と修験・巡礼が一体となった地域は、世界的に見ても稀有の聖地といえます。

世界中どこにも似た場所が無い、さまざまな信仰が混交し一体化した、稀に見る霊場。1000年以上にわたり多くの人々が長い道のりを歩き、山道を登り、苦しい経験をしつつ巡礼を続けた場所。霊的な場所としては、世界で最も偉大な地と言えるでしょう。